2025年12月8日
ビハリストX ~開店準備は1日にしてならず~
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オープニング:華やかさの裏にある、地味でマルチでコミュニケーション満載な仕事
「すごい、顔がちっちゃくなりました!」
「ほうれい線が薄くなって、彼氏に褒められました!」
「素敵な空間でいつも施術頂いてます!」
「Wi-Fi爆速、最高!」
お客様が何気なく口にするこれらの言葉。その裏に、一体どれだけの“地味で泥臭い”作業があったことか。2025年、某月某日(7月4日)。東京某所(秋葉原)にて、新しい「ビハリスト」店舗が静かに、そして確実に、完成の道を歩んでいた――。
本記事では、その開店に向けた全プロセスを赤裸々に、時に瑞々しく、そして大胆にお伝えしていく。
ガントチャート:なにはともあれ工程表

まず作るのは、すべてのタスクと工数を記したガントチャートだ。
ここでオープン日までの逆算を行い、各タスクのスケジュールを細かく決めていく。
ここでタスク漏れが起きると、後々大変なことになる。(なんどもなりかけた)
作ってしまえばあら不思議。後は毎日工程表とにらめっこをして、書かれたタスクを順調にこなすだけで、いつの間にかお店がオープンしているという寸法だ。
大きな物事ほど、簡単に考えた方が良い。プレッシャーで動けなくなる前に動くのだ。
墨出し:始まりは「ここに店を出すんだ」と言えるその瞬間

オープンの1か月前、いよいよ開業準備のスタートである。
最初のステップは「墨出し」――と聞くと、ちょっと職人感漂う言葉だが、実際は「店舗現地での立ち合いと確認」のこと。基礎部分のみになった物件に、デザイン事務所や施工会社、不動産や電気屋など、各部門のスタッフが一堂に介す。
そして、デザイン図面や配管図とにらめっこしながら「ここが施術スペースで…あ、トイレここね」「エアコンちっさい!」などと確認する。
ここでイメージを共有し、認識を合わせ、各部門で実際の施工に向かうための準備を進めていくのである。
ここからは、工事の進行度合に合わせて臨機応変にタスクを進めて行かねばならない。
インフラ整備:電話とWi-Fi、時々NTT

内装作りがある程度おちつき、施工会社以外の人が部屋に入れるようになったら行われるのがインフラ整備だ。
NTTとの数々のやり取りが始まり、回線の現地調査、電話やネットの工事がある。NTTとはなぜか毎度希望予定が合わず、内装工事とのタイミング勝負が続いている。
「現地調査って、なんでピンポイントでしか予約取れないの?」とつぶやいた誰か(俺)の声が風に消えていった。
それでも、無理にでも予定を組み、施工会社に頭を下げ、NTTのスタッフを部屋に入れてしまえばあら不思議。
いつしか電話は鳴り、Wi-Fiはつながり、Spotifyは流れ始めるのだ。みよ、これが“文明の力”だ。
備品戦争:Amazon vs アスクル vs 予算

次に始まるのは“備品との格闘”。からだはうすで施術道具、アスクルで日用品、しろふわ便でタオル…。リストを片手に「これ、要る?」「予算大丈夫?」と検討が続く。
一見単純に見えるこの作業、実は「店舗の機能美と顧客満足のバランス」を支える非常に重要なパート。
発注が完了すると、後は無事に届くかのお祈りが始まる。(後述するが、1日遅れると大変なことになる)

「ビハリスト」の命題はお客様の美と癒し。こだわるところはとことんこだわる。
だから、石鹸はモルトンブラウン、花はニコライ・バーグマン…「こんなにオシャレな鍼灸院ある?」とツッコミが入るのももはや恒例。美に妥協しない、それがビハ流。
保健所対応:法律との真剣勝負

“店舗開発におけるラスボス”とも言えるのが、保健所対応。
提出用図面、定款、免許証のコピー…書類をそろえて、窓口に行き、各自治体ごとのルールを確認し、引き渡しの当日に保健所スタッフの現地調査を受ける。
換気機能や施術室の衛生環境、管理方法などを細かくチェックされ、法律に則った問題のない店舗と判断されなければならない。
「外気開放面積の計算があってない模様なので再度計算をしてもらえますか?」という一言を店舗引き渡し日(内装工事終了後)に保健所スタッフに言われ、魂が抜けかけた者(俺)もいたという。
※余談:衛生環境を守るため、施術室の面積分に対し、一定の換気機能(外気開放面積)を用意する必要がある。保健所の現地調査は工事終了後に行われるため、もし外気開放面積が足りていなければ、追加工事の可能性がある。
それでも今回も無事、開設届は受理され、保健所も納得のクリーンな施設として認印を受けることに。健康第一、清潔命。
オープン直前:いざ引き渡し日、ゴリゴリ部屋作り


荷物が届き、部屋が整い、改めてスタッフが一同に集まる日がきた。いよいよ店舗の引き渡しである。
ほっとしている施工会社やデザイン会社を横目に、我々ビハリストスタッフは 「ここからが勝負や…」と気合を入れる。
なぜなら、ここから二日でオープンしなければならない。二日だ。(普通は一週間くらい準備期間がある)
オープンしなければ、お客様は入って来ない。家賃は出ていく。そういうことである。
(なので、備品到着が1日でも遅れると大変になる)

大量のタオル、施術着、設定が必要な数々の機器類、冷蔵庫、棚、組み立て式ワゴン、施術イスと施術ベッド…。手分けしてゴリゴリとさばいていく。

一部屋作り終えたスタッフは、あまりの疲れに思わす施術イスに座り込んでしまった。
そして、長きにわたる準備が実り、ようやく秋葉原店(5部屋)が完成!
エピローグ:店舗開発は、舞台裏の総力戦

これは今回、開業準備を行ってくれたメンバーの写真だ。
おわかりいただけただろうか。疲れのためか、一部空間が歪んでいる。
目をつぶっている奴もいる。これはお店が繁盛する前触れである。
みなさんお疲れ様でした。
“おしゃれで洗練された空間”の裏側には、たくさんの人の「見えない努力」がある。
店舗においてある紙コップ一つですら、誰かが汗をかいて整えてくれているのだ。
その地道な積み重ねが、「ビハリストって、なんかいいよね」の一言につながる。
次の店舗も、きっとまた同じように、静かに、そして熱く生まれていく――。

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